歯周病は成人が歯を失う最大の原因の病気です。20代くらいから始まり、40代・50代で自覚症状が出る場合もあるほどゆっくりと進行します。生活習慣にも関わるため、きっちり予防をして歯を病原菌から守りましょう。
歯周病は歯と歯肉の境目のポケットに歯垢が溜まることから始まります。長年の不適切な歯磨きによって、徐々に病気が進行し、自覚症状が表れた頃には末期にさしかかっていることがよく見られます。歯石が溜まっているかどうかや、歯周ポケットの深さなどはご自分では分からないため、長年歯科を受診していない方は一度検診を受けられることをお勧めします。
歯垢がたまった状態を放置すると、歯垢の中の病原菌が歯肉に炎症を起こす原因物質をつくり、炎症が起きます。歯と歯肉の間に2~3mmのすき間ができます。
ポケットの溝が深くなると歯垢も深く入り込み、ポケットの底を破壊します。すると溶ける歯肉に伴い、破骨細胞が歯槽骨を吸収していきます。
歯槽骨が半分くらい吸収され、支えを失った歯は動揺し始めます。炎症は更に進みます。歯のグラつきなどで症状に気付き始めます。
歯槽骨が半分以上破壊され、歯はグラグラになります。歯周ポケットは6mm以上にまで達していて、抜歯も治療法の視野に入れる必要があります。
歯周病の治療は歯石の除去と、侵蝕された組織の除去が基本的な治療となりますが、歯周組織の破壊に対しては歯周再生療法を行います。歯周組織を再生し、歯の寿命を延ばします。
歯周病により骨が吸収された部位に膜を張り、歯周組織(歯槽骨)が回復するスペースを確保し再生を促す方法です。
喫煙は歯周病の二大危険因子のひとつで、喫煙と歯周病は密接に関連しています。
喫煙は歯周組織(骨や歯肉)を激しく破壊します。また、タバコに含まれるニコチンなどの有害物質により、歯肉が炎症を起こしても出血が抑えられて、歯周病の初期症状がわかりにくくなり、気づいた時には歯周病が重症化しているというケースも見られます。さらに、喫煙者では唾液の分泌量が低下するため、細菌の繁殖を抑えづらくなり、歯垢や歯石が増えてしまい、治りも悪くなります。
あるデータによると、『喫煙者は吸わない人に比べて2~6倍、歯周病になりやすい』とされています。現在、歯周病になっていなくても、タバコを吸っていると歯周病へのリスクが高くなり、逆に禁煙すると歯周病へのリスクが下がりますので、歯周病を予防するためにも禁煙することをお薦めします。
二大危険因子のもうひとつは糖尿病です。糖尿病と歯周病は相互に関係があり、歯医者で歯周病と診断されたのをきっかけに糖尿病が見つかるということも珍しくありません(逆に糖尿病と診断されたのをきっかけに歯周病が見つかる事も多いです)。
糖尿病になると身体の抵抗力が下がり、さまざまな合併症が起こります。抵抗力が下がるという事は『細菌に感染しやすい=歯周組織が歯周病菌(歯垢)に侵されやすい』ということです。さらに糖尿病になると唾液の分泌量が減少します。その結果口の中の細菌を洗い流す作用が弱くなり、歯周病になりやすくなってしまうのです。
ですので、病気を治さない限りいくら歯周病の治療を行っても治りづらく、また仮に治っても再発してしまう可能性が高いので、歯周病の方は糖尿病ではないかを1度詳しく検査してもらい、病気がある場合はその病気を同時に治療していく事が歯周病治療にも繋がるのです。